家の中で集中できる場所の選び方|在宅ワーク・勉強がはかどる環境づくり

在宅勤務やリモート学習が当たり前になった今、「家の中で集中できる場所がない」「どこで作業しても落ち着かない」と感じている人は少なくありません。同じ家の中でも、リビングだとテレビが気になる、寝室だと眠くなるなど、場所によって集中のしやすさは大きく変わります。

そこでこの記事では、家の中で集中できる場所の選び方を、環境づくりや習慣の視点から具体的に解説します。仕事や勉強に取り組むスペースを見直したい人向けに、「どの部屋を選ぶか」「どう整えれば集中ゾーンになるのか」を分かりやすくお伝えします。

この記事は、在宅ワーク環境の改善や習慣づくりに関する執筆経験を持つライターが、自身の実体験と一般的な環境心理・作業環境の知見にもとづき、一般的な情報として解説しています。医療・心理の専門的な診断や治療を行うものではありません。気になる症状がある場合は、必ず専門機関に相談してください。

まず最初に、本記事の結論を先にお伝えします。家の中で集中できる場所を選ぶときのポイントは次の三つです。

一つ目は、「静かさ」だけでなく、生活音や人の動きが自分にとって許容できる範囲かどうかを基準にすること。

二つ目は、光の向き・温度・椅子と机の高さなど、体への負担が少ない環境を選ぶこと。

三つ目は、場所そのものよりも「ここではこれをする」というルールを決め、家族と共有しながら、集中用スペースとしての一貫性を保つこと。

この三つを意識して家の中を見直せば、広い書斎がなくても、ワンルームの一角でも、十分に集中しやすい場所をつくることができます。


目次

家の中で集中できる場所を選ぶ前に押さえたい基本

家の中で集中できる場所を探すとき、多くの人は「静かな部屋」や「机と椅子がある場所」をイメージします。しかし、実際にはそれだけでは不十分なことが多いです。まずは、集中力と場所の関係について基本的な考え方を整理しておきましょう。

集中力は「場所×時間×ルール」で決まる

集中力は、場所だけでなく、そこで過ごす時間帯や自分で決めたルールとの組み合わせで決まります。

同じリビングでも、家族がテレビを見る時間帯は集中しにくく、早朝の静かな時間なら集中しやすいといった違いがあります。また、「この場所に座ったらスマホを触らない」「この机にノートを開いたら、まず5分だけ取りかかる」といったルールを決めることで、脳がその場所を集中モードと結びつけやすくなります。

つまり、家の中で集中できる場所は、「どの部屋か」だけでなく、「いつ」「どんなルールで使うか」をセットで考えることが大切です。

自宅ならではの集中を妨げる要因を理解する

家の中は、仕事場や図書館とは違い、くつろぎや家事の場でもあります。そのため、集中を妨げる要因が多く存在します。

例えば、生活音や家族の会話、スマホの通知、キッチンの片づけや洗濯物など、「やらなきゃ」と思い出すきっかけが視界に入りやすいことが挙げられます。また、ソファやベッドなど、リラックスするための家具が近くにあると、気持ちが仕事や勉強モードから離れやすくなります。

このように、自宅では仕事と生活の境界が曖昧になりがちです。家の中で集中できる場所を選ぶときは、「誘惑や気が散る要素からどれだけ距離をとれるか」も重要なポイントになります。

なぜ専用スペースがあると集中しやすいのか

専用の書斎がなくても、家の中で「ここに座ったら作業モード」という場所を一つ決めておくだけで、集中しやすさは変わります。これは、脳が場所と行動をセットで記憶する性質があるためです。

毎回違う場所で作業すると、そのたびに環境に合わせて気持ちを切り替える必要があり、エネルギーを消耗します。一方で、同じ場所を繰り返し「集中の場」として使うと、その場に座るだけで自然と作業モードに入りやすくなります。

そのため、家の中で集中できる場所を探すときは、「ここを集中スペースに育てていく」という視点を持つことが大切です。


家の中で集中できる場所の候補と特徴を整理する

次に、家の中で集中スペースになりやすい場所の候補を整理し、それぞれの特徴を見ていきます。自分の住まいに近いパターンをイメージしながら読み進めてみてください。

リビングを集中スペースにする場合のポイント

リビングは、多くの家庭で一番広く、日当たりや机・ソファなどの家具が整っている場所です。そのため、在宅ワークや勉強スペースとして選ばれやすい場所でもあります。

一方で、家族が集まりやすく、テレビや会話などの刺激も多いため、そのままでは集中しづらいことも多いです。リビングを集中できる場所にしたい場合は、テレビから距離をとる、家族の動線から少し外れた壁際に机を置くなど、視界に入る情報を絞る工夫が必要です。

また、「家族がテレビを見ているときはイヤホンを使う」「特定の時間帯だけリビングの机を作業用にする」といったルールを決めることで、集中しやすさを高められます。

寝室を作業スペースとして使うときの注意点

寝室は比較的静かで、人の出入りが少ないことが多いため、家の中で集中できる場所の候補にもなります。しかし、ベッドが近くにあることで眠気が出やすく、気づいたら横になってしまう、といった問題が起こりやすい場所でもあります。

寝室を集中スペースにする場合は、ベッドから視線を外せる位置に小さな机を置くなど、視界に入る情報から「寝るためのもの」をなるべく減らすことが重要です。また、「ベッドの上では仕事をしない」「机に座ったら、最低でも10分は席を立たない」といった、自分なりのルールを設定しておくと良いでしょう。

ダイニングやキッチン周りを集中スペースにする工夫

ダイニングテーブルは、もともと「ものを書く・食事をする」ための高さに設計されているため、ノートパソコンや書類作業に適している場合が多いです。ただし、食事の準備や片づけのタイミングと重なると、家族との動線がぶつかりやすくなります。

ダイニングを家の中で集中できる場所にしたいときは、「食事の時間帯以外に使う」「作業中はテーブルの半分だけを自分のエリアとして決める」など、空間の使い分けを意識することが大切です。キッチンが視界に入ると「洗い物しなきゃ」と気が散りやすいため、キッチン側を背にして座るだけでも集中度が変わります。

玄関・廊下・納戸など意外な穴場

あまり使われていないスペースが家の中にある場合、そこが集中スポットの穴場になることがあります。例えば、少し広めの廊下の一角や、窓のある納戸、使っていない子ども部屋などです。

これらの場所は、もともと「仕事や勉強のための部屋」として想定されていないため、少しの工夫でガラリと印象が変わります。小さめのデスクや折りたたみテーブル、スタンドライトを置くだけで、簡易的な集中スペースがつくれます。

ここで、代表的な場所ごとのメリット・デメリットを簡単な表にまとめます。

下の表は、「家の中で集中できる場所」としてよく選ばれるスペースの特徴を比較したものです。自分の家の間取りや生活スタイルに近い行を参考にしながら、「どこをメイン候補にするか」を検討してみてください。

場所主なメリット主なデメリット
リビング明るく机も確保しやすい。日中の在宅ワークに使いやすい。家族の出入りやテレビなど、気が散る要素が多い。
寝室比較的静かで、人の出入りが少ない。ベッドが近く、眠気やだらけやすさにつながりやすい。
ダイニングテーブルの高さが作業向き。片づけやすい。食事の時間帯と重なると中断されやすい。
余った部屋・納戸人の動きが少なく、集中スペースにしやすい。机や照明など環境づくりの準備が必要。
廊下・玄関脇生活空間と切り離しやすく、短時間の集中に向く。狭くて長時間作業には向きにくい。

この表を参考に、「自分の家ではどこが一番現実的か」「どのデメリットなら許容できるか」を考えてみると、候補が絞りやすくなります。


家の中で集中できる場所を見極めるチェックポイント

候補となる場所がいくつか見えてきたら、次は「本当にここで集中できるか」を確認するステップです。ここでは、音・光・温度といった環境要素ごとにチェックしたいポイントを紹介します。

音・匂い・人の動きのチェック

まず意識したいのは、音や匂い、人の動きによる刺激です。完全な無音である必要はありませんが、気になる音が頻繁に入ってくる場所は、集中するのが難しくなります。

例えば、道路に面した窓のそばでは車の音が気になりやすく、キッチンに近い場所では調理中の匂いや片づけの音が気になることがあります。また、家族が頻繁に通る動線上にデスクを置くと、視界の端で人影が動き続け、集中が途切れやすくなります。

家の中で集中できる場所を選ぶときは、実際に10分ほど座ってみて、「どんな音がするか」「どんな匂いが漂ってくるか」「人の通り道になっていないか」を体感してみることが大切です。

光と画面の映り込みをチェックする

光の量や向きも、家の中で集中できる場所かどうかを左右する重要な要素です。明るすぎる場所では目が疲れやすく、暗すぎると眠気を誘ったり、画面や文字が見づらくなったりします。

特に、パソコンやタブレットを使う場合は、窓からの光が画面に映り込まないかどうかを確認しましょう。真正面や真後ろから強い光が当たると、画面が見づらくなるだけでなく、長時間の作業で目に負担がかかります。

理想は、窓が横方向にあり、自然光が横から差し込む位置に机を置くことです。それが難しい場合は、遮光カーテンやブラインド、デスクライトを組み合わせて調整すると良いでしょう。

温度・湿度と座り心地の確認

温度や湿度、椅子の座り心地など、身体的な快適さも見逃せません。寒すぎたり暑すぎたりすると、それだけで集中力が削られてしまいます。また、椅子の高さが合っていないと、肩こりや腰痛につながり、長時間の作業がつらくなります。

理想的には、エアコンや扇風機、ひざ掛けなどを使って、自分が一番快適に感じる温度帯を保てる場所を選びましょう。座り心地は、クッションや腰当てを使うだけでも大きく変わります。

ここまでのポイントを、「チェックすべき観点」と「確認方法」の表に整理します。この表は、候補の場所ごとに印刷して書き込んでも活用できます。

観点確認するポイント自分なりの目安
音・匂い・人の動き10分座ってみて気になる音や匂いがあるか、人が頻繁に通るか集中が途切れるほど気になるものがないかどうか
光・画面の見やすさ画面に光が映り込まないか、紙の文字が読みやすい明るさか目を細めなくても自然に読める明るさかどうか
温度・湿度・座り心地暑すぎないか寒すぎないか、椅子に30分座ってもつらくないか体のどこか一カ所でも強い違和感が出ないかどうか

この表を使って、家の中の候補スペースをいくつか比べてみると、「なんとなくここかな」ではなく、理由を持って集中スペースを選びやすくなります。


タイプ別・家の中で集中できる場所の選び方

家族構成やライフスタイルによって、家の中で集中できる場所の最適解は変わります。ここでは、一人暮らし、家族と同居、小さな子どもがいる家庭の三つのタイプに分けて考えてみましょう。

一人暮らしの人が意識したいポイント

一人暮らしの場合、家全体を自由に使える一方で、空間と生活のメリハリを自分でつける必要があります。ベッドの上で仕事をしたり、ソファでだらだらスマホを触ったりしていると、仕事と休息の境界が曖昧になり、集中しづらくなります。

一人暮らしで家の中に集中できる場所をつくるときは、「作業用の椅子とテーブル」を一組決めることが重要です。たとえワンルームであっても、窓際の一角に小さなデスクを置き、「ここに座ったら仕事・勉強だけをする」というルールを徹底することで、自然と集中しやすい空間になっていきます。

家族と同居している人が意識したいポイント

家族と一緒に暮らしている場合、完全に静かな場所を確保するのは難しいことも多いです。その代わりに大切なのが、「家族とのルール作り」と「時間帯の工夫」です。

例えば、リビングの片隅を集中スペースにする場合、「この時間帯だけはテレビの音量を下げてもらう」「この椅子に座っている間は話しかける前に一声かけてもらう」など、具体的なお願いをしておくと、お互いにストレスが減ります。

また、子どもが学校に行っている時間や、朝の早い時間など、自然と静かになりやすい時間帯を「集中タイム」として固定することで、家の中でも作業リズムを整えやすくなります。

小さな子どもがいる家庭での工夫

小さな子どもがいる家庭では、「静かな場所」を探すよりも、「子どもの様子をある程度見守りながら、短時間でも集中できる場所」をつくることが現実的です。

例えば、子どもが遊ぶスペースから少しだけ離れたダイニングテーブルの端を作業スペースにし、子どもが一人遊びしている10〜20分だけ集中的に作業する、といった形です。また、子どもが昼寝している時間帯は、子ども部屋の近くの廊下や別室に移動して、より静かな環境で作業するなど、「時間帯ごとに場所を使い分ける」発想も役立ちます。

以下の表は、タイプ別におすすめの集中スペースと工夫の例をまとめたものです。自分の状況に近いものを参考にしてみてください。

タイプおすすめの場所工夫のポイント
一人暮らし窓際の一角、小さなデスク、ダイニングテーブルの固定席椅子と机の組み合わせを一つに固定し、そこでのみ仕事・勉強をする。
家族と同居リビングの壁際、使っていない個室の一角、寝室のデスク家族と「集中タイム」のルールを共有し、テレビや会話のボリュームを調整してもらう。
小さな子どもがいる家庭ダイニングテーブルの端、子どもスペースから少し離れた場所、廊下の一角子どもの状況に合わせ、短時間集中を前提に場所と時間を柔軟に切り替える。

このように、「誰と暮らしているか」「一日のどの時間帯に作業したいか」によって、家の中でのベストな集中場所は変わります。 自分のタイプに合わせて、現実的に続けられる形を考えることが大切です。


集中できる場所を維持するためのルールづくり

一度「ここが良さそう」と決めた場所も、その後の使い方しだいで、集中できる場所になったり、ただの物置きスペースになってしまったりします。ここでは、家の中の集中スペースを「育てる」ためのルールづくりについてお伝えします。

物を持ち込みすぎない・戻す習慣をつくる

集中スペースに物が増えすぎると、視界に入る情報が増え、頭の中も散らかりやすくなります。読みかけの本や書類、飲みかけのコップがいくつも並んでいると、それだけで気が散ってしまいます。

理想は、「ここに置いてよいもの」をあらかじめ決めておくことです。例えば、パソコン、ノート一冊、ペン、飲み物一つ、程度に絞り、それ以外のものは作業が終わったら元の場所に戻す習慣をつくります。

いきなり完璧を目指す必要はありませんが、「今日の作業が終わったら、机の上を一度まっさらにする」という小さなルールを続けるだけでも、家の中で集中できる場所を保ちやすくなります。

スマホやテレビとの距離を決めておく

集中を妨げる代表的な要素が、スマホとテレビです。家の中で集中できる場所を選んでも、そのすぐそばにスマホがあったり、テレビの画面が見えたりすると、つい意識が持っていかれてしまいます。

スマホについては、「集中スペースから腕を伸ばして届かない場所に置く」「別の部屋に置いておく」など、物理的な距離をあらかじめ決めておくと効果的です。テレビがある部屋を使う場合は、画面が視界に入らない角度に座る、テレビのリモコンを別の場所に置くなどの工夫も有効です。

家族と共有する「集中タイム」の合図を決める

家族と暮らしている場合、いくら自分が集中したくても、周りにそれが伝わっていないと、話しかけられたり用事を頼まれたりして集中が途切れてしまいます。

そこで役立つのが、「集中タイム」であることを家族に分かりやすく伝える合図です。例えば、特定の帽子をかぶる、イヤホンをつける、デスクの上に小さなサインを置くなど、視覚的に分かりやすいサインを決めます。

こうした合図を家族と共有しておくことで、家の中で集中できる場所が「家族にとっても、邪魔しないゾーン」として認識されるようになり、集中環境を維持しやすくなります。


専門機関への相談を検討したい目安

ここまでお伝えしてきた内容は、あくまで一般的な環境づくりや習慣の工夫です。家の中で集中できる場所を工夫しても、「どうしても集中できない」「日常生活や仕事に大きな支障が出ている」と感じる場合は、無理に一人で抱え込まず、専門機関への相談も視野に入れてください。

環境を整えても集中できない状態が続くとき

家の中の場所を変えたり、スマホとの距離を調整したり、作業時間を工夫しても、何週間も集中できない状態が続く場合、単なる環境要因だけではない可能性もあります。

特に、物忘れが増えたり、やるべきことに手をつけられない状態が長く続いている場合は、心身のコンディションに関する要因が関係していることもあります。その場合は、早めに医療機関や専門の相談窓口で相談することをおすすめします。

仕事や学業に支障が出ていると感じるとき

締め切りに間に合わない、仕事のミスが増える、学校の課題がまったく進まないなど、日常生活や仕事・学業に明らかな影響が出ている場合も、専門的なサポートを検討するタイミングです。

環境を整えることは大切ですが、「頑張ればなんとかなるはず」と自分だけを責め続けるのではなく、必要に応じて専門家の力を借りることも、長く働き続けるための大事な選択肢です。

専門機関に相談するときの注意点

この記事の内容は、在宅環境や習慣づくりに関する一般的な情報であり、医療・心理の専門的な診断や治療を行うものではありません。気になる症状がある場合は、医師や公的な相談窓口、カウンセラーなどの専門職に相談してください。

相談の際には、「どのような場面で集中できないと感じるか」「どれくらいの期間続いているか」「生活や仕事にどのような影響が出ているか」といった情報を書き出しておくと、自分の状態を伝えやすくなります。


よくある質問(Q&A)

ここからは、「家の中で集中できる場所の選び方」について、よくある疑問にお答えします。

Q1. ワンルームで、ベッドと机が同じ部屋にあります。それでも集中できる場所をつくれますか。

ワンルームでも、工夫次第で十分に集中できるスペースをつくることができます。ポイントは、ベッドと作業スペースを「目線」と「ルール」で分けることです。机の向きをベッドと反対側に向ける、パーテーションやカーテンで視界を区切る、机の周りだけは物を増やさないなどの工夫を行うことで、同じ部屋の中でも役割を分けやすくなります。

Q2. リビングしか作業場所がありません。家族がいても集中できる方法はありますか。

リビングで集中する場合は、「時間帯の工夫」と「家族とのルールづくり」が鍵になります。家族が比較的静かに過ごしている時間帯を集中タイムとして決める、テレビの音量を下げてもらう、話しかける前に一言かけてもらうなど、小さなルールを共有しておくと良いでしょう。また、リビングの中でも、テレビから距離があり、人の動線から少し外れた壁際を選ぶと、集中しやすくなります。

Q3. 家の中で場所を変えながら作業するのは良くないですか。

必ずしも悪いとは言えません。むしろ、作業内容によって場所を使い分けることで、気分転換になり、集中しやすくなることもあります。ただし、何でもかんでもどこでもやるようになると、仕事と休息の境界が曖昧になりやすいため、「集中作業はここ」「軽いメール返信はここ」といったように、自分なりのルールを決めることをおすすめします。

Q4. 集中できる場所を決めても、ついスマホを触ってしまいます。どうすればいいですか。

場所を決めるだけでは、スマホの誘惑までは消せません。スマホ対策としては、「物理的な距離」をとることがとても有効です。例えば、別の部屋に置く、玄関の棚に置いてから作業スペースに向かうなど、手を伸ばしても届かない位置にスマホの定位置を決めると良いでしょう。あわせて、通知をオフにする、タイマーアプリを使って「この25分だけは触らない」と決める方法も役立ちます。

Q5. 集中できる場所をつくるのに、お金をかけたほうがいいのでしょうか。

必ずしも高価な家具やグッズが必要なわけではありません。まずは、家の中で場所の選び方と使い方を工夫することが大切です。そのうえで、必要に応じてデスクライトやクッション、小さな折りたたみデスクなど、負担にならない範囲でアイテムを追加していくと良いでしょう。大切なのは、自分にとって続けやすい形で環境を整えることです。


用語解説

集中スペース

家の中で仕事や勉強などに集中的に取り組むために決めた場所のことです。必ずしも専用の書斎である必要はなく、リビングの一角やダイニングテーブルの決まった席などでも構いません。

生活動線

家の中で人がよく通る道筋のことです。玄関からリビング、キッチン、トイレなど、日常生活の中で何度も通るルートを指します。集中スペースを生活動線から少し外すことで、人の出入りによる気の散りを減らせます。

集中タイム

自分や家族の中で、「この時間は仕事や勉強を優先する」と決めた時間帯のことです。時間帯を固定しておくことで、家の中のリズムが整い、集中モードに入りやすくなります。

環境要因

音、光、温度、匂い、人の動きなど、作業に影響を与える周囲の条件を指します。家の中で集中できる場所を選ぶときは、これらの環境要因をバランスよく整えることが大切です。


まとめ|全部を完璧に整えなくていい。まずは「一カ所」を決めることから

家の中で集中できる場所の選び方について、環境・タイプ別の工夫・ルールづくりまで、さまざまな観点からお伝えしてきました。

大切なのは、立派な書斎を用意することではなく、「ここに座ったら自然と集中モードに入れる」と感じられる場所を、家の中に一カ所でもつくることです。

そのためには、音や光、温度といった環境要因を整えつつ、自分や家族に合ったルールを少しずつ育てていくことが欠かせません。ただ、一度にすべてを完璧にしようとすると、かえって疲れてしまいます。

まずは、今日できることを一つだけ選んでみてください。例えば、「家の中で候補になりそうな場所に10分間座って、音や光をチェックしてみる」「リビングの机の上を一度リセットして、作業に必要なものだけを置いてみる」「スマホを別の部屋に置いてから、15分だけ作業してみる」など、小さな一歩で構いません。

その小さな一歩を積み重ねていくうちに、家の中に「ここに来ると自然と集中できる」という心地よい場所が少しずつ育っていきます。自分のペースで、無理のない範囲から試していきましょう。

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